セメント業界が、コンクリートによる道路舗装の普及に力を入れている。
設備などの初期コストが安く、工期も短いアスファルト舗装が国内では主流だが、
原料の原油は輸入に頼っており、円安の進行などで、国内調達が可能なコンクリートが見直されつつある。
この機を捉えようと、業界団体やメーカーが、工期を短縮できる新製品を共同開発し、
兵庫県内でも工事見学会を開くなどPRに本腰を入れている。
国内の道路舗装は1950年代まで、セメントに砂や砂利を混ぜたコンクリートが約6割を占めた。
しかし、コストや工期の面で優位性が高いアスファルトに押され、現在はシェア約5%。
国内のセメント生産量も、公共事業の減少などでピーク時(90年度)のほぼ半分に落ち込んでいるという。
国内メーカー約20社でつくるセメント協会(東京)は、再び道路舗装に活路を見いだそうと、
2007年ごろから新製品の開発に着手した。練ることで水分量を減らせる建築用の薬剤を転用し、
従来は約2週間だった舗装から道路開通までの養生期間を、24時間まで短縮。
「早期交通開放型コンクリート舗装」として09年、完成させた。
同協会員の住友大阪セメント(東京)は今秋、同社赤穂工場(赤穂市)で新製品見学会を開催。
行政、業界関係者ら約130人を招いて、「耐久性があり、維持管理費も含めると
コストは高くない」「長期間の工事規制が難しい市街地道路や、
交通量が多く傷みが早い交差点の補修に向いている」などの利点をPRし、工程を実演した。
参加した土木職員からも「これまでの難点を克服している」と評価の声が上がった。
新製品の施工件数は徐々に増え、14年度は過去最高だった13年度の15件(約4千平方メートル)を超える見通しだ。
うち官公庁分は2件のみだが、国土交通省が道路舗装の発注業者に対して
アスファルトとコンクリートの比較検討を推奨しており、今後の伸びが期待される。
(12月4日 神戸新聞より)