自動車や電機などの主要産業別労働組合でつくる全日本金属産業労働組合協議会(金属労協)は28日、
平成27年春闘で最低賃金に関し、月額15万6千円以上の水準(前年と同じ)
または月額3千円(前年は2千円)以上の引き上げなどを目指す方針を確認した。
ベースアップ(ベア)が大きな焦点となっている今春闘だが、労働側は賃金の底上げに向け、
非正規雇用者を含めた最低賃金への取り組みも重視している。
金属労協は、「企業内最低賃金協定」の締結企業の拡大や水準の引き上げなどを求める。
また、非正規雇用者の時間額(時給)も、987円以上の水準または19円以上の
引き上げに取り組むとしている。
電機連合は正規雇用の高卒初任給について、現行より3千円引き上げた16万1500円以上、
25歳(基本賃金)で4千円引き上げた17万9500円以上の水準などとする統一目標基準を、
29日から開催する中央委員会で正式に決める。
自動車総連も今回初めて、非正規労働者の賃金改善を要求基準に盛り込んだ。
「生活の安心が確保できるようにして、経済の好循環をまわしていく」狙いが
あるという。
もっとも、経営側は慎重だ。経団連が20日に出した「経営労働政策委員会報告」では、
産業別に決められる特定最低賃金について「(都道府県で設定されている)地域別最低賃金額を
下回ったものは速やかに廃止すべきだ」と指摘。
「賃金の下支えや企業の公正競争確保という役割を果たしている」という
労働側との溝は大きく、交渉の行方は予断を許さない。
(2015年1月28日 産経新聞より抜粋)