基本給を底上げするベースアップ(ベア)が焦点となった
2015年春闘は、自動車や電機など主要企業が18日に、
賃上げ内容を労働組合に一斉に回答した。
大手製造業で過去最高のベアが相次ぎ、業種にも広がりが出始めている。
今後本格化する中小企業の交渉が期待される。
トヨタ自動車は、比較できる02年以降で最高となる
4000円のベアを回答した。日産自動車が5000円、
ホンダが3400円など、自動車大手8社のうち7社が
現在の要求方式になってから最高額を更新した。
一時金も7社が満額回答した。
日立製作所や東芝など電機大手6社も
3000円を統一回答した。
前年より1000円高く、現行の要求方式となった
1998年以降で最高額だった。
自動車、電機の大手はそろって6000円のベアを要求していた。
安倍首相は18日の参院予算委員会で、
「賃金上昇は過去15年で最高だった昨年の水準を
さらに上回る勢いと認識している。
この流れがしっかりと広がっていくことを期待したい」と述べた。
連合の古賀会長は18日の記者会見で、
デフレ脱却に向けた賃上げについて、「道筋がついた」と総括した。
賃上げ率が前年実績の2.07%を大きく上回り、
3%を超える可能性があることを明らかにした。
実現すれば94年の3.11%以来の高水準となる。
明治安田生命も18日、約1万1000人の
2015年度の一時金(ボーナス)を前年度より
平均7%引き上げる方針を決め、労働組合に伝えた。
年間の給与に換算すると、平均2%以上の賃上げとなる。
労働組合の要求を上回る回答で、事実上妥結した。
正社員などを対象に賃上げを実施するのは、2年連続になる。
NTTグループも2015年春闘は、NTTドコモやNTT東日本、
西日本など主要8社についてベースアップ(ベア)に相当する
賃金改善を月額2400円とすることで決着した。
改善は2年連続で、前年の1600円を上回り、
1999年のグループ再編後で最も高い。
労働組合は6000円を要求していた。
一時金(ボーナス)は、東日本、西日本など
主要5社で満額回答だった。
NTT(持ち株会社)は、ドコモの業績不振で
15年3月期の連結営業利益(本業のもうけ)が
減益になる見込みだが、賃上げを求める社会的な
要請や社員の士気向上などを考慮した。