昨年4月に消費税が8%について
引き上げられてから1年になったが、
個人消費は依然、低迷している。
今年は大企業を中心に、
昨年を上回る水準で賃上げが実現する見通しで、
消費が上向くかが注目される。
97年4月に税率が3%から5%になった
前回の引き上げ時は、国内総生産(GDP)の
実質成長率が7~9月にいったん前期比プラスに転じた。
しかし今回は、2四半期連続のマイナス成長になり、
10~12月期にやっとプラスになった。
回復が遅れたのは、増税や円安による物価の
上昇ペースに賃金の伸びが追いつかず、
家計の負担が増したことが大きい。
物価変動の影響を含んだ実質賃金は、
97年は前年比で横ばいだったが
14年はマイナス2.5%となった。
景気回復の確かさを裏付けるのは、賃金の伸びだ。
好調な企業業績を背景に、多くの企業で今年も賃金上げの
継続が見込まれる。雇用も高水準で、
2月の有効求人倍率は1.15倍となり、90年代前半の
バブル崩壊以来の高水準だった。
ボーナスが支給される夏以降、個人消費は回復すると予想されるが、
回復を力強いものにするには、賃上げの中小企業への広がりが欠かせない。
政府は近く、経済団体、労働団体との政労使会議を開き、
中小企業が賃上げしやすい環境作りを促す方針だ。