政府は3日、労働基準法など労働関連法の改正案を閣議決定し、
2016年4月の施行を目指す。
政府の成長戦略の目玉の一つである、
長時間働いても残業代や深夜手当が支払われなくなる制度の新設が柱だ。
新しい制度の対象は、金融商品の開発や市場分析、
研究開発などの業務をする年収1075万円以上の働き手。
対象者には、 年104日の休日終業と始業の間に
一定の休息在社時間などに上限のいずれかの措置をとる。
しかし働きすぎを防いできた労働時間の規制が外れるため、
労働組合などからは残業代ゼロの批判と
「働きすぎを助長し過労死につながりかねない」などと警戒している。
改正案には、あらかじめ決めた時間より長く働いても
追加の残業代が出ない「企画業務型裁量労働制」を広げる
ことも盛り込んだ。これまでは企業の経営計画をつくる
働き手らに限っていたが、「課題解決型の営業」や
「工場の品質管理」業務も対象にする。
厚生労働省によると、企画業務型の裁量労働制で
働く人は推計で約11万人いる。
労働時間は1日8時間までが原則だが、制度をとりいれている
事業場の45.2%で実労働時間が1日12時間を超える
働き手がいる。対象の拡大で、働きすぎの人が増えるおそれがある。
また、厚生労働省は3日、2月の毎月勤労統計調査
(従業員5人以上の事業所)を発表した。
2014年の冬の賞与は従業員1人当たり
平均37万5431円(08年以来6年ぶりに
前年比1.9%増)となった。景気回復を背景に、
企業業績の改善が続いたことが追い風となった。