10日の東京株式市場で、日経平均株価(225種)は一時、
15年ぶり に2万円の大台を回復した。
円安や原油安を追い風にした日本企業の好業績を見込み、
今年に入って約2500円上がった。
取引時間中としてはITバブルの2000年4月17日以来の水準となった。
今後の株価の行方は、企業が賃上げや設備投資などをさらに強め、
経済の好循環を実現できるかが左右する。
日経平均は、2000年4月12日の2万833円がITバブル時のピークだった。
同月末には1万8000円を割り込み、その後は下落局面に入った。
当時の円相場は1ドル=103円前後、長期金利は1%台後半だった。
雇用環境は厳しく、失業率は4.8%と高かった。
一方、現在の円相場は1ドル=120円前後で17円も円安になっている。
長期金利は、日本銀行による大規模な金融緩和によって0.3%台まで低下。
企業にとってはお金を借りやすく、設備投資などを促す環境になっている。
失業率も3.5%まで低下し、建設業や小売業などでは
人手不足の問題が起こっている。
企業は人材を確保するため、賃上げや待遇の改善を求められる。
ただ、経済規模を示す名目国内総生産(GDP)は、
2000年よりも20兆円以上も縮小している。
物価が下がり続けるデフレが長く続いた影響だ。
原油価格は昨年末から下落しているとはいえ、
1バレル=50ドル台は2000年当時の約2倍の水準だ。
賃金の上昇率は0%台と、2000年当時と同様に低い状態で、
消費の回復ペースが鈍い要因となっている。
株価の上昇で、個人消費や企業活動が活性化し、
賃上げにつながれば、デフレ脱却の実現が期待される。