日本生命保険の筒井社長は13日、毎日新聞のインタビューで、
買収などで規模を拡大するM&A(企業の合併・買収)戦略について、
「米国は有力な検討対象の一つだ」と述べ、米欧での保険会社買収などを
検討していることを明らかにした。
2014年9月中間決算で第一生命保険に抜かれた保険料等収入(売上高)については、
早ければ3年以内に首位奪回を目指す考えを示した。
日生は、海外保険会社や資産運用会社への出資やM&Aに
今後10年で最大1兆5000億円を投じる方針を掲げている。
筒井氏は「一つの案件に巨額を投じるより分散させるのが原則だ」と述べ、
米国や欧州などで複数の案件の選定に入ったと明らかにした。
銀行などの窓口で保険商品を販売する「窓販」については「市場が相当大きくなっている。
この分野で伸ばすのが大事だ」と説明。
窓販専門会社の新設か他社買収の両面で検討する意向を示した。
売上高の首位を第一生命に明け渡したことは「不本意だ。重く見ざるを得ない」と強調。
15〜17年度の中期経営計画期間中の逆転に「努力目標として当然取り組む」と述べた。
第一生命は既に、保険会社特有の経営形態である相互会社から株式会社へ転換したが、
筒井氏は株式会社化は「全く考えていない。
契約者にどう利益を還元するかを考えると相互会社が一番ふさわしい」と語った。
また、筒井社長は14日、産経新聞のインタビューでは、
「営業職員を今年度中に5万人に増やし、維持していきたい」との考えを示した。
外資系生保の参入などで競争が激化し、営業職員はバブル期の約9万人から
現在は4万9千人に減っている。
保険市場は人口減で頭打ちが見込まれるが、
「高齢者や働く女性の取り込みなど、国内市場は成長余力がある」として、
5万人態勢の維持が必要と判断した。
また、国内外での保険会社、資産運用会社のM&A(企業の合併・買収)に
今後10年で最大1兆5千億円を投じる方針を掲げたことについて、
「1兆円を超える大型買収はせず、分散させる」と明言。出遅れている、
銀行窓口で販売する保険商品については「夏ごろに外貨建ての商品を出す。
3年以内に専門の子会社か買収を図り、機動的な経営を進める」と話した。